慢性腎不全って大雑把な表現?
いろいろなリスクを総合的に判断するCKD
CKDという言葉、最近よく見かけることがありますね。かといって、それは何かというふうには注目されているようにも思えません。
それは、たとえば、メタボリックシンドロームなら腹囲何cm以上、というふうにわかりやすいのですが、CKDは簡単に出せるものではありません。
それと、心臓や肺の病気、血圧や糖尿病と比較すると腎臓病は目立ちにくいのです。それは、腎臓が悪くなっても、最初は本当に症状が見えず、気がついたら腎不全、といった状態が多かったからでしょうか。
以前に比べると、CKDは知名度も上がりつつあります。テレビでもたまに見かけます。早めにリスク管理をして、腎不全に陥ることを防いでいきたいものです。
CKDとは?
今や、腎臓病の判断に欠かせない
CKDは2002年に米国腎臓財団によって、定められた考え方で、chronic kidney disease=慢性腎臓病の略です。
この概念が世界中に広がる気配です。いま、CKDの概念が急速に普及している理由とは、何なのでしょうか。
まず、CKDの進行による末期腎不全の患者の数は年々増加しています。さらに、潜在的なCKDを持つ人はもっと多いと考えられるそうです。
また、CKDの存在そのものは、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患へとつながっていく可能性が高いと言うことです。
広い意味では腎臓に障害があることや腎機能が低下しているという状態が3ヶ月以上持続しているかどうかを、検診などで簡単な検査で診断します。
腎機能は、血清クレアチニン値から推算する糸球体濾過量(eGFR)という値を使って評価するので、CKDの診断がより簡単になったそうです。
CKDの概念をつかうので、腎疾患や腎不全といういいかたでなく、腎臓病というくくりで
と表現することになってきました。
どんな病気のことか
腎障害と腎機能低下の可能性のある慢性疾患
CKDが進行すれば、透析療法や腎移植を必要とする末期腎不全に至ることになります。
さらに、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞など心血管疾患(CVD)であることが大きな危険因子となっています。
CKDの定義
1.検尿、血液検査、画像診断、病理検査などで腎障害を示す所見があること。
2.腎機能が低下していること(GFR<60ml/分/1.73㎡)
3.1か2のいずれかが3ヶ月以上持続していること。
<日本腎臓学会 CKD診療ガイド2009 より抜粋>
自覚症状が乏しいこわい病気
気がついたら腎臓病
腎臓病の恐ろしいところは、自覚症状がほとんどないうちに病気が進行するといことだそうです。
腎機能が低下して、数値や尿検査に異常が現れても、自覚症状がないので体の異変に気付きにくいのが特徴なんですね。
また、症状があったとしても、体がだるい、疲れやすい、むくみやすい、夜間のトイレが増えたといったもので、痛くて動けないと言った症状にはなりません。
eGFRが低くなったら
腎機能が落ちると回復することはないと言われています。ということは、eGFR値が低くなる前に腎臓を守る対策が必要です。
もし、血液検査でeGFRが低ければ、これ以上eGFR値が下がらないように、日常生活の中で改善努力が必要になります。
1.不規則な生活をやめる
疲労が蓄積するような不規則な生活を改善します。腎臓にストレスがかかることは避けて睡眠や休息をしっかりとり、規則正しい生活を心掛けます。
2.煙草やお酒は厳禁
喫煙は腎臓病の発症や悪化に関係があるそうです。腎臓病でなくとも、喫煙はすぐにやめるべきです。
飲酒がすぐに腎臓病の悪化になるわけではありませんが、飲み過ぎは他の臓器にも負担がかかります。なるべく飲酒量は減らすべきです。
3.運動を続ける
激しい運動はかえって腎臓によくないのですが、適度な有酸素運動を続けることはプラスです。
4.腎臓に良い食べ物
・塩分の少ない食べ物
腎臓病と塩分はとても深い関係があります。成人男性の1日の塩分摂取量は8gに対して、腎臓病患者では3~6g未満だそうです。
日本人の平均的な塩分摂取量が10g前後だそうです。これですでに目安値を簡単にオーバーしています。
・食物繊維含む食べ物
腎臓病が悪化すると野菜も食べられません。だから腎臓病になる前に、たんぱく質を控えて野菜を多めに、食物繊維を意識して食べることが重要です。
・L-シトルリンを含む食べ物
腎臓にはL-シトルリンがいいそうです。身近な食品ではウリ科の野菜、特にスイカに多く含まれています。