光免疫療法の実用化はいつか、がんを治す仕組みと日本での治験の現状

がんの光免疫療法とは?

近赤外光をがん治療に利用

今、注目されているがんの治療法の1つに、米国立衛生研究所の小林久隆さんという日本人の研究者が開発された「光免疫療法」があります。

この方法は、がんの三大療法である、手術、薬、放射線に加えて、「第四の治療法」として注目されているんですね。

小林久隆さんは、米国立保健研究所の主任研究員です。2011年にマウスでの治療で「光免疫療法」に成功したとの論文を発表したんです。

ある化学物質と、特定のがん細胞に結びつく性質があるたんぱく質である抗体を結合させた薬を作りました。これ注射すると、抗体はがん細胞と結びつきます。

その後、近赤外光を当てると、化学物質が反応してがん細胞を攻撃し、破壊するのです。また、これをきっかけに免疫細胞が活性化するそうです。

光免疫療法のしくみ

光そのものは人体に無害

光免疫療法で用いるのは、2つです。1つはがん細胞と結合する抗体と呼ばれるたんぱく質)、2つめは近赤外線に対して反応する化学物質です。

この2つを結合させたものを、がん患者に注射するのです。すると、血液をめぐって体中のがん細胞にその薬が結合するそうです。

そしてその結合した部位に近赤外線を当てると、化学物質が反応するのです。その結果、がん細胞の細胞膜が破壊され、がん細胞が死滅するというのが基本的な仕組みだそうです。

このとき、体内に入った化学物質自身は、近赤外光を当てなければ、そのまま体外に排出されてしまう、ということで安全なわけです。

また、近赤外線はテレビのリモコンから出る光と同じで、人体には、全く悪影響を与えないと言うことです。

光免疫療法のメリット

副作用の小ささが際立つ

一番注目されているのは、光免疫療法は、従来の三大治療法と比べて、副作用が非常に小さいということだと言われています。

1.がん細胞だけを狙える

がん細胞にくっつきやすい抗体を使うので、まわりにある、正常細胞を壊す可能性が低くなるということです。

2.光を当てなければ反応は起こらない

もし、その抗体が正常細胞にくっついたとしても、光を当てなければ、その正常細胞を傷つけることがないということです。

3.免疫力は落ちない

がん細胞周辺の正常細胞である免疫細胞が生き残るので、免疫が活発化され、がん細胞が残っていてもやっつけてくれる確率が高まるということです。

免疫細胞が生き残って免疫力が低下しないことで、転移や再発の予防にもつながると期待されます。

4.即効性がある

この治療を行った翌日には、もうがんの腫瘍が死滅したという臨床結果もあるそうです。

5.抗がん剤よりも安く付く

光免疫療法の費用は抗がん剤治療に比べると安くなると言われています。

光免疫療法のデメリット

目的に見合った効果を重視

残念ながら、1つの治療法がすべてうまく行くとは限りません。いくつかの欠点も併せ持っているものなんです。

1.固形がん以外には使えない

光免疫療法は固形がんにしか効きません。いわゆる、血液がんと言われる白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫には効果はないそうです。

2.即効性がゆえの欠点

光免疫療法に限らず、短期間でがんを大量に死滅させるようなよく効く治療では、腫瘍崩壊症候群という症状が起こることがあるそうです。

これは、最悪の場合は死にいたることもあります。例えば、動脈の周りに出来たがんに光免疫療法を行うと、がん細胞は死滅しますが、動脈を支えていたがん細胞も消えるので、出血してしまうということです。

3.費用が高くつく

光免疫療法の費用は、費用対効果で考えることが大切です。近赤外線は、レーザー1台あればいくら使っても減らないのでたいしたことにはならないと言うことです。

まだ、保険適用されていないので、100万から200万円くらいは最低かかると予想されます。

一般的な抗癌剤治療は一ヶ月で数百万円かかることもあるそうなので、それと比べるとかなり安くなります。

今後、保険適用されれば、高額医療制度もあわせて、実際の負担額は数万円くらいになると期待されています。

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