強制わいせつ罪とは?意味と定義、わいせつの構成要件と罰則規定

強制わいせつ罪の意味

「わいせつ」な行為には2種類ある

じつは、犯罪や刑罰などを定めた刑法には、「わいせつ」という言葉が多く見られるのです。

刑法第22章では「わいせつ、強制性交等及び重婚の罪」の章で、項目だけを並べても次のようになります。
・公然わいせつ
・わいせつ物頒布等
・強制わいせつ
・準強制わいせつ及び準強制性交等
・監護者わいせつ及び監護者性交等
・強制わいせつ等致死傷

しかし、これらの罪状に含まれる「わいせつ」という言葉の意味はすべて同じものではありません。

1.性的感情に対するもの

「公然わいせつ」等に関わる性的感情に対するものです。

2.性的自由に対するもの

「強制わいせつ」等の基準となる性的自由に対するもので、1.とは法的性格が違うものと解釈されているそうです。

例えば、強制的に人に対してキスをするという行為は「強制わいせつ罪」の構成要因になりますが、人前で夫婦や恋人同士がキスをしても、「公然わいせつ」には問われません。

強制わいせつ罪の定義

刑法における、強制わいせつの定義とは

刑法第百七十六条に強制わいせつに関する定義が示されています。

・十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

ただ、ここでのわいせつな行為の定義となると、結構難しい問題といわれているんですね。

司法界では、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」と定義しているようですが、どちらかと言えば、公然わいせつのようです。

強制わいせつでは、わいせつの意味もせばめられ、「広く人の性的羞恥心に関する行為」、と解釈するのが正しいと言われています。

「わいせつ」の定義が変わる?

これまでは、具体的には、相手が同意なしに、抱きしめたり、身体を撫で回したり、キスをするといった行為のことを指しました。

そして、それ以上の行為を無理矢理行おうとすれば、そうなると、「強制性交等罪」や「強制性交等未遂罪」となっていたんです。

しかし、「強制わいせつ罪」の構成要件について、2017年7月の刑法改正と、11月の判例変更で、大きな変化が起こったといわれています。

そういうわけで、いわゆる痴漢行為は「強制わいせつ罪」にあたる、とひと言では言えなくなったそうです。

それは、一般的にイメージされる痴漢行為に至らなくとも、「強制わいせつ罪」で処罰を受ける可能性が出てきたということなのです。

強制わいせつ罪の構成要件

強制わいせつ罪が成立する要件

強制わいせつ罪の構成要件とは、強制わいせつ罪が成立するための要件のことになります。

強制わいせつ罪の構成要件によって、精神障害などの特別な場合を除いて、強制わいせつ罪が成立します。

強制わいせつ罪の構成要件の該当性としては、つぎのようなことから判断されます。

・強制わいせつ罪の実行行為があるか、
・強制わいせつ罪の結果が生じたか、
・強制わいせつ罪の実行行為と結果との間に因果関係が認められるか、
・強制わいせつ罪の故意が認められるか

実行行為から故意まで、すべてがそろってはじめて、強制わいせつ罪が成立することになるのです。ここには、いくつかの構成要件があります。

1.強制わいせつの実行行為

どうしたら強制わいせつ罪が成立するのでしょう。これは、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすること、13歳未満の者に対しては、暴行・脅迫を用いずともただわいせつな行為をすることとなっています。

・「暴行・脅迫」の程度としては、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度、つまり軽微な程度でも十分に該当すると言われています。

・「わいせつな行為」に関しては、普通の人がわいせつだと感じる行為をいうのです。

これに関しては、裁判では、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ一般人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいうとしているようです。

具体的な行為としては、次のようなものです。
・むりやり抱きつく
・陰部に手を触れる
・手指で弄ぶ
・自分の陰部を押し当てる
・女性の乳房を弄ぶ
といった行為がわいせつな行為とされているようです。
強制わいせつ罪の結果は?
では次は結果ですね。

2.強制わいせつ罪の結果

強制わいせつ罪の結果とは、13歳以上の者は意思に反して、13歳未満の者ならば意思に反していなくても、わいせつ行為を受けることをいいます。

3.強制わいせつ罪の実行行為と結果との間に因果関係

被害者がわいせつ行為を受けたいう事実があって、はじめて強制わいせつ罪の結果が生じるということになんです。

4.強制わいせつ罪の故意

これは、行為がわいせつであるということの認識が必要だということです。ただ、強制わいせつ罪の成立に「性的な意図」は必要ないということになっています。

強制わいせつ罪の罰則規定

強制わいせつ罪の量刑

強制わいせつ罪は、6月以上10年以下の懲役で、これは改正前と変わっていないそうです。

また、初犯であれば、悪質な行為でない限り執行猶予がつく可能性が高いといわれています。

それでも強制わいせつ罪は、他の犯罪と比べると重罪であるという認識はあるようです。

さらに犯行の際、被害者に怪我を負わせたり、死なせてしまうと、これはかなり重罪です。

刑法の第百八十一条(強制わいせつ等致死傷)

第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

ただ、実際には、傷害罪や過失致死罪、あるいは殺人罪といった犯罪が適用されるケースもおおくあるのです。

したがって、犯罪自体が強制わいせつだとしても、これらのより重い罪で起訴される可能性もあるんですね。

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