常在菌や腸内細菌が免疫やメンタルまで影響、腸内フローラの整え方

菌から連想するイメージって「悪い」しか浮かばない

近年の抗菌ムードに警鐘を鳴らす必要がある?

一般には、菌というと悪いもの、汚いものというイメージがありますね。特に、最近は清潔感覚のせいで、抗菌や殺菌ということが重要視される傾向があります。

たしかに、食中毒でおなかをこわしたり、、傷が化膿する原因など、悪さをするということは菌の持つ1つの側面です。

しかし、実際は、人はこの世にうまれたときから死ぬまで、多くの菌のおかげで生きていられるのです。ようするに菌なしでは生きていけないのです。

そして、人体にとって良い作用をもたらす菌が多く存在することが重要です。そんな菌とともにいかに共生していくかを真剣に考える必要があります。

菌が定着する環境を整えて、人にとって正しい方向に力を発揮してもらうために、その方法を知り、それに合う行動をしないといけないのです。

菌のおかげで保たれる健康

ヒトは生まれたときから菌と共生している

さて、菌はいつごろ人の皮膚にすみつくのでしょうか。まず、母親の胎内にいるときには無菌状態です。ということは、生まれてくると同時に菌の定着が始まることになります。

つまり、人はこの世に生きている限り、菌と共生する事から離れることはできないのです。それらの菌が生体に様々な影響をあたえる中で生きていくしか方法はないのです。

常在菌の拮抗現象

まず、菌が生体に有利に働く作用のひとつとして拮抗現象があります。これは、すでに数種類の菌で平衡状態を保っていると、そこには新たな病原菌は定着できないことです。

しかし、抗生物質の投与などで常在菌を弱めてしまうと、投与された抗生物質に耐性のある菌が異常に増殖してしまい、感染することがあるのは、そのせいです。

ようするに、平衡状態を保つことで、常在菌が人の体を他の菌から守るという、大きな役割を果たしているわけです。

常在菌の免疫系刺激作用

常在菌が免疫系を刺激し、免疫能力や抵抗力を強くする作用を免疫系刺激作用といいます。

実験によれば、常在菌をまったく有しない無菌室で飼育した動物では、一般に細胞免疫が低いレベルになってしまうということもわかっているそうです。

皮膚常在菌の静菌作用

静菌作用とは細菌の発育や増殖を抑制する作用のことといいます。これには、皮脂の存在が大きく関わっているそうです。

皮脂は皮脂腺から分泌され、グリセリドや脂肪酸が60%以上を占めています。表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌がこれらの有機物質を分解すると、エネルギーを生成し、その結果皮膚表面を弱酸性にします。

この皮膚表面を弱酸性が、アルカリ性を好む黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌などの増殖を抑制するのです。

逆に、弱酸性を好む表皮ブドウ球菌やプロピオニバクテリウムといった常在菌の増殖を促進することになるのです。

皮膚常在菌の種類

約205種類が存在

1.表皮ブドウ球菌

皮脂成分のトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解し、皮膚を弱酸性に保ち、アルカリ性が大好きな病原菌が増えるのを防ぎます。

2.アクネ菌

にきび菌として有名なアクネ菌ですが、日頃は表皮ブドウ球菌と同じように働きます。本当は皮膚を守ってくれる大切な菌なのです。

ところが食事の内容が肉に偏ったり、ストレスがあって皮脂が過剰に分泌されると、毛穴のアクネ菌が異常に増殖してしまい、炎症を起してにきびができるわけです。

3.黄色ブドウ球菌

身のまわりのあちこちにいます。普段はおとなしくしていますが、皮膚がアルカリ性に傾くと、活発に活動します。

ひっかき傷やけがのじゅくじゅく、洗い過ぎでお肌がアルカリ性になるとこの菌が増えて、炎症やかゆみを起してしまいます。食中毒や、とびひの原因にもなります。

4.マラセチア真菌

酵母菌の1種です。正常な皮膚では、あまり影響がありません。しかし、脂漏性皮膚炎やフケの原因にもなり、アトピー性皮膚炎の増悪因子ともいわれます。

皮膚の健康と常在菌

健全な皮膚常在菌を育てる

1.洗いすぎない

まず、健全な皮膚環境を作ることが重要で、そのためには、洗いすぎない事が大事なのです。

強力なクレンジング剤は汚れを落とすだけでなく、肌を傷め、常在菌にとっても住みにくい皮膚を作り出してしまうのです。朝は水だけで洗顔をし、肌と菌を守りましょう。

2.水分や油分を補給する

洗顔後、ひどく乾燥するようなら、水分や油分を補給します。ただ、化粧品に含まれる防腐剤は要注意。常在菌を殺してしまいます。防腐剤無添加がいいでしょう。

3.食事と運動

よい汗をかく習慣を持つことが大切です。定期的に適度な運動をすることに加えてバランスのよい食事が大事なのです。

4.正しい知識をつける

正しい知識を身につけ、皮膚表面をできる限り弱酸性に保ち、定着している常在菌のバランスを崩さず、力を発揮してもらうためです。

そのためにどのような方法が必要か、真摯に考え、それにあわせたスキンケアを行う必要があるのです。

腸内細菌とは

腸内細菌は体の一部?

腸を大切にすることで健康を維持できる、というのは一般的な認識ですね。しかし、この腸というのは、じつは、腸に生育している腸内細菌叢のことかもしれません。

というのは、人間の大腸には、実際にはたくさんの細菌が常に生息していることは、よく知られた事実です。

さらに、最近の研究では、大腸内には、3500種類を超える細菌が棲息している、といわれています。

そのような細菌がいることで、人は栄養状態を調整したり、身体を危険な敵から守ったりしてもらえるのです。

腸内細菌の量は大人では約1.5㎏にもなるそうです。そして、その存在は限りなく体の一部といえそうです。

種類と多様性が支える身体

腸内細菌が性格にまで影響

人はストレスを感じたときに「ストレスホルモン」を分泌しているそうです。そして、腸内細菌とも相互に作用していることがわかってきたのです。

社交的な性格の人は、内気な人に比べてストレスホルモンの分泌が少ないということもいわれています。これは、腸内細菌のおかげだということだそうです。

腸内細菌には、ストレスホルモンの量を調整する力があって、その量が多いということは、何らかの問題に直面してもストレスを感じにくくなるというわけです。

プロバイオティクス治療とは

腸内細菌を整えることで改善する?

ある実験では、無菌状態のマウスを閉じ込めると、ストレスホルモンが過剰に生成されることがわかっています。

そこへ、ビフィズス菌の一種をあらかじめ投与するだけで、ストレスを防げることができたそうです。

このように、腸内細菌は、実際の行動にまで影響を与えるが、マウスの実験では分かってきているのです。

実際、細菌を全く持たないように繁殖させたマウスは、通常の腸内細菌を持つマウスと比べて非社会的な行動が多くなって、孤立しがちになることがわかったそうです。

腸内細菌の改善によって、子どもの気性や態度の改善が図れることも期待されているようです。

ストレスホルモンは、肥満や喘息、アレルギーといった慢性疾患を引き起こすことがわかっています。

今後は、腸内細菌の解析が進めば、そういった病気を予防できる可能性が出てくるのです。

腸は人体の最大の免疫組織

カギを握るのは腸内細菌

腸は単に食物の消化吸収のためだけにあるのではありません。人体の中で、最も大きな免疫組織だということです。

そして、多くの神経もあり、内分泌系組織も集まっているわけで、そのために腸は第2の脳などと呼ばれることがあるのです。

緊張によって、お腹が痛くなったり、下痢をするというのもありますが、逆に、腸の調子が悪いと脳が不安を感じることになります。

腸と脳はネットワークで密接につながっていて、お互いの刺激が自律神経や内分泌、免疫系を通じて双方向に伝わっていることがわかっています。

このような脳と腸の密接なかかわりのことを脳腸相関とも呼んでいるのです。ストレスで腹痛や下痢、便秘を繰り返す過敏性腸症候群は、そのものです。

腸は、精神的なストレスがたまると、その影響をダイレクトに受けてしまい、働きが低下するだけでなく、腸内細菌の中でも悪玉菌が増えてしまい、免疫力が低下していくのです。

逆に、腸内環境の改善がストレス対策にもなると言われていて、腸内環境を整えることで、脳にかかるストレスを軽減できるのです。

腸内細菌、乳酸菌やビフィズス菌の役割

腸内環境改善に大きく関わっている

ヨーグルトや乳酸菌飲料のイメージとしては、お腹の調子を良くしてくれる食品というものでしょう。

じつは、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は腸内細菌と呼ばれていて、はたらきは整腸作用だけではなく、内臓脂肪の低減や感染予防など、さまざまなんです。

腸内フローラの実態

わたしたちの腸の中には多種で多様な腸内細菌がすみ着いています。その数は9千兆個ともいわれます。これは、体内の全細胞数の150倍にも及ぶんですね。

こういった腸内細菌の中には、有毒物質を作り出す菌の活動を抑えて、腸内環境を良くするものや、体の免疫機能を高めたりするものといったような機能がみられるのです。

そういったことから、乳酸菌のイメージは、「整腸作用」や「アレルギーケア」といった商品に人気が集まっているわけです。

さらに、腸内環境の善し悪しによって、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーだけでなく、大腸がん、うつ病、高血糖や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病などにも大きな影響があるといわれています。

善玉菌と悪玉菌

善玉菌を補う必要

善玉菌の代表といえば、乳酸菌ですが、ビフィズス菌やアシドフィルス菌といった、さまざまな種類があるそうです。

これらは、悪玉菌の増殖や定着を防いで、感染の予防や有害な物質の体外への排出の手助けなどをしているのです。

逆に体に害を与えるのが悪玉菌で、ウェルシュ菌や病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌などがあげられます。これらは腐敗物質の産生や老化と深く関わっているそうです。

腸内でのバランスが重要

腸の中では善玉菌と悪玉菌、そしてどちらにも属さない日和見菌が、いつもせめぎあって存在して腸内フローラを構成します。

悪玉菌は腐敗物質や発ガン性物質を生み出します。善玉菌は、悪玉菌を抑え、腸を良好な環境にして健康を支えます。

そして、日和見菌は、健康な時にはおとなしく存在しますが、悪玉菌が優性になってくるとそこに加勢して、一緒に悪さを働くわけです。

これらの腸内細菌のバランスは人によって異なることもわかってきて、さらに腸内環境が病気や不調とも密接に関係することもわかってきたそうです。

一般の人の腸内では、善玉菌といわれる菌はごく一部になります。そのため、食べ物で善玉菌を補うことに意味があるわけです。

乳酸菌やビフィズス菌が、お腹の調子を整えるのは、乳酸菌などが作り出した乳酸が腸を刺激してぜん動運動を促すからです。さらに腸の中に水分を呼び込んで便の硬さも調節してくれます。

内臓脂肪の低減に高い効果

整腸作用以外の乳酸菌の効用に注目

最近の傾向として、乳酸菌のもたらす効用の多様性に注目されています。特に内臓脂肪の低減効果への関心が高いようです。

英国の栄養雑誌に発表された研究では、ガセリ菌SP株という乳酸菌を含むヨーグルトについて調べています。

それによると、この乳酸菌を1日200グラム、12週間食べると、含まないヨーグルトを食べた場合に比べて内臓脂肪が約8%減少していたそうです。

さらに、ガセリ菌SP株は、皮下脂肪の減少効果や、血中コレステロール低下作用などもあるといわれています。

食中毒や病気の予防効果も

食中毒への効果が期待できる菌として、ビフィズス菌BB536株があります。この菌は酸に強く、生きたまま腸に到達するそうです。

この菌は腸内で殺菌力の強い酢酸をつくるので、その作用によって、腸管出血性大腸菌O157の感染を抑えるそうです。

R-1乳酸菌やビフィズス菌BB536株などはインフルエンザの発症予防効果が報告されています。

また、乳酸菌シロタ株では、ノロウイルス感染性胃腸炎による発熱日数を短くする効果があるといわれています。

これらの効果は病原菌を攻撃するNK細胞の働きを活発にさせるためだと考えられています。

免疫力を高める乳酸菌やビフィズス菌

アレルギーが増える原因との関わり

乳酸菌やビフィズス菌には、免疫細胞のバランスを整えるはたらきがあるので、花粉症などのアレルギー症状を改善するといわれています。

じつは、最近の清潔に対する意識の高まりから、母親の腸内細菌を子どもが受け継ぎにくくなっているそうなんです。

それは、ほ乳類の腸内に棲んでいた乳酸菌が人間と仲良く棲み分けてきた歴史を子どもが受け継ぎにくくなっていることになるのです。

もともと腸には免疫機能が集中していて、乳酸菌が不足すると免疫の暴走が生じて、がんやアレルギーへと傾いてしまうのです。

ふつう、子どもは3歳くらいまでに母親の腸内細菌を受け継ぐそうですが、清潔思想の行き過ぎが起こって、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの増加につながっているというわけです。

また、あまりに清潔な環境で成長してしまうと、免疫の暴走を抑える制御性T細胞という細胞の数が少ないまま大人になってしまうそうです。

3歳ぐらいまでに培ったTレグ細胞の数が少ないと、免疫の暴走を止められず、自分の体を攻撃してしまうことが起こるのです。

さらに、腸内で乳酸菌が少なくなると、悪玉菌が増えて液性免疫=Th2というものが優位になります。これも暴走すると、アレルギー症状が引き起こされてしまいます。

乳酸菌によって腸内フローラのバランスを整えることで、花粉症やアトピー性皮膚炎のつらい症状が改善する可能性もあるわけです。

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