最新の充電電池として普及したリチウムイオン電池とリチウム電池の違い

リチウムイオン電池の構造

リチウムイオン電池とは

リチウムイオン電池は、正極と負極の間でリチウムイオンが行き来して、充電と放電が可能になっていて、繰り返し使用できる電池で、いわゆる二次電池とも呼ばれます。

その構造は、一般に、正極にリチウムの酸化物、負極には黒鉛=グラファイトなどが用いられ、電解質には液状またはゲル状のリチウム塩の有機電解質が用いられます。

リチウムイオン電池のしくみ

充電

リチウムイオン電池の電極は、正極も負極も層状になっています。その層の内部にリチウムイオンをためるわけです。

リチウムイオン電池を充電すると、正極から負極に電子が移動します。同時にリチウムイオンが正極から電解質を通って負極に溜められ、これが電位差になります。

放電

正極と負極が回路で接続されると、電位差によって負極から正極に向かって電子が流れます。

負極のリチウムイオンが電解質内を移動し、正極内の電子と結合、リチウム酸化物に還元されるわけです。

リチウムイオン電池の種類

用途に応じて開発された電池

1.コバルト系

正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を用いたリチウムイオン電池が、1991年にソニーエナジーデバイス社によって世界で初めてリチウムイオン電池として商品化されました。
コバルトは最もバランスの取れた正極材料として、モバイル機器を中心に幅広く使用されています。

しかし、コバルトは高価で、また価格変動が大きいのです。さらに熱暴走の危険があるため車載用への応用としては安全性に課題があるといわれているようです。

2.ニッケル系

ニッケル酸リチウムを正極に使用しているリチウムイオン電池です。これは、もっとも高容量なのですが、安全性に問題があって、実用化が難しいとされてきたそうです。

そこで、NCA系と呼ばれるタイプが開発され、高い安全性で商品化されて、プリウス・プラグインハイブリッドに搭載されているそうです。

3.マンガン系

マンガン酸リチウムを正極材料に使用するリチウムイオン電池です。マンガンは低価格で、さらに、強固な結晶構造を持っています。

そのため熱安定性に優れていて、安全性が高いことによって、車載用電池の主流になりました。世界的にも車載用としては主流になっているようです。

4.リン酸鉄系

リン酸鉄リチウムを正極に使用するリチウムイオン電池です。主にアメリカや中国のメーカーが製造しているそうです。

リン酸鉄系は電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくいので、安全性が高く、鉄を原料とするために、マンガン系よりもさらに安く製造できます。

欠点としては、定格電圧が他のリチウムイオン電池が3.7V程度あるのに対して、リン酸鉄系は3.2V程度しかないので、エネルギー密度が低いことです。

5.三元系

この電池は、正極材であるコバルト酸リチウムのコバルトの一部をニッケルとマンガンで置き換えて、コバルト・ニッケル・マンガンの3種類を使い安定性を高めています。

6.チタン酸系

ほとんどのリチウムイオン電池が負極に黒鉛を使用しています。それに対してこの電池は、負極にチタン酸リチウム、正極にマンガン酸リチウムを使用しているのです。

負極に黒鉛を使用するのに比べ、チタン酸系では寿命が6倍になり、充電も10分以内の急速充電が可能になっているそうです。

欠点としては、定格電圧が他のリチウムイオン電池が3.7V程度あるのに対して、チタン酸系は2.4V程度しかないので、エネルギー密度が低いことです。

7.リチウムポリマー

一般のリチウムイオン電池は電解質に有機溶媒の液体を使用しますが、この電池はゲル状の電解質を使用します。

さらに、電池本体をアルミラミネートのフィルムにして、形状の自由さと重量の軽さを実現しています。

揮発性や引火性をもつ電解液を使用しないので、安全性が高くなっている半面、容器が柔軟で折り曲げたり、または過充電や過放電で膨らんでしまうといったことでショートして発火や炎上の危険を持ちます。

現在、ほぼすべての携帯電話・スマートフォン・タブレット等の電源として使用されているものです。

リチウムイオン電池の問題点

避けられない安全性の確保

リチウムイオン電池の発熱や発火、発煙等の事故の原因は次のようなものです。

1.電池本体の不良に起因するもの
2.電池の充放電を制御する回路または装置の不良

電池本体の不良に起因する原因

1.電池の生産時に金属粉等の異物が混入してしまい、電極間のショートを引き起こして事故を起こす場合があります。、

2.リチウムポリマー電池のように本体が柔らかい電池や、硬くても強い衝撃のために、筐体が変形してしまい、電極のショートによって、事故になります。

電池の制御回路・装置の不良に起因する原因

1.制御回路や装置が何らかの原因により破損してしまい、回路がショートして事故を起こす場合があります。

2.制御回路や装置が何らかの原因で正常に機能できずに、電池の過充電や過放電が生じて、電池が発熱して発火する場合があります。

リチウムイオン電池の今後の課題

最も重要な安全性のために

リチウムイオン電池は、過充電するとかなりの確率で燃焼・爆発すると考えられるそうです。

また、過充電以外にも、充電されてエネルギー満タンの状態でショートさせたり、異常放電や異常充電、過加熱などを行うと燃えたり爆発するようです。

他の電池でも想定されていない使い方で異常な現象は起こりうるでしょうが、リチウムイオンバッテリーほど燃えやすく爆発しやすい電池は一般には存在しないそうです。

電気用品安全法(PSE)

リチウムイオン電池の危険性をうけて、2008年5月に電気用品安全法施行令が改正されました。そこで、リチウムイオン電池は規制対象になっています。

そこでは、電池セルのエネルギー密度が400Wh/L以上で、自動車用・原付用・医療用・産業用機械器具用・固定化した組電池以外のものが対象です。

バッテリーマネジメントシステム(BMS)

リチウムイオン電池のセルを直列・並列接続してシステムを作る場合、複数のセルの充放電の制御が必要になります。

この制御機能をバッテリーマネジメントシステム=BMS、またはバッテリーマネジメントユニット=BMUといいます。

機能としては、次のようなものを持ち、電池の安全性を確保できるようになっています。
・各電池セルの電圧、電流、温度等を測定する測定機能
・測定したデータを表示する表示機能
・充放電間に電流を調節し、各セルの電圧を一定に保つ機能
・充放電間に設定した電圧、電流、温度等の上限値・下限値を超えると停止する機能

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