年々進化しているスタッドレスタイヤ、研究の成果が出ている
今や、うまく使えば、快適さと安全性は両立するレベルになっている
タイヤのゴムの表面は、柔軟に路面に密着して、接地面積を増やします。それによって、グリップ力を維持しているんです。
ところが、低温になると、ゴムは硬化し、路面に密着しにくくなってしまうんです。そうなると、接地面積が減少してしまい、すべっちゃうわけです。
もはや、スタッドレスタイヤなしでは雪道は走れない
スタッドレスタイヤとは、そういったタイヤの弱点を克服して、凍った道路や雪のつもった道路でも走れるように開発されたタイヤなんです。
スタッドレスタイヤは普通のタイヤと違い、雪路や凍った道路で走ったり、止まったりできるよう、特別な工夫がされているんですよ。
スタッドレスタイヤをスノータイヤ、冬用タイヤと呼んでも、大丈夫らしいです。
スパイクタイヤからスタッドレスタイヤへ
粉じん公害のすごさが開発を加速させた
まず、スパイクタイヤが初めて実用化されたのは、1950年代のスカンジナビア半島のスウェーデン、ノルウェー、デンマークなどです。
そして、1960年代にはいって、日本へも輸入されるようになったんですね。その後、国産のスパイクタイヤが北海道を中心に普及したそうです。
しかし、金属製の鋲=スタッドのあるスパイクタイヤによって「粉じん公害」が深刻になってきました。
雪や氷だけでなく、雪が溶けた路面、コンクリートやアスファルトを鋲が削り、削られた粉じんが空気中に舞っていったんです。
マスクなしでは歩けないし、道路の白線もすぐに削り取られてしまったりと、粉じん公害は北国の都市の財政や健康に悪影響を与えたんですね。
スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律
1990年の法律によって、一般にはスパイクタイヤの使用が禁止されました。それによって、誕生したのが、スタッドレスタイヤなんです。
凍結するとすべるわけ
滑る原因は、氷ではなく水
冬道で滑る原因、それはじつは路面の氷上にできた水膜なんです。水膜は、クルマが氷の上を走っていると、車の重さが氷に圧力をかけます。そのために水分がとけ出すことでできてしまうんです。
気温にして、0℃~-10℃のあたりでは、水はとけ出しやすくなり、最も滑りやすい状態になるそうです。
もっと温度がなると、水はとけ出しにくく、滑りにくくなるんです。
温度が下がると水はとけ出しにくくなる半面、ゴムが低温で硬くなってしまって滑りやすくなるということです。
この2つの原因に対して、すべりにくいタイヤを開発する、というタイヤメーカーの努力のおかげでスタッドレスタイヤは進歩を遂げてきたわけです。
1.とけた水に対して
とけた水を素早く逃がすための溝を工夫しています。スタッドレスタイヤの溝が複雑な形をしているのはそのためなんです。
2.低温でゴムが硬化することに対して
素材に工夫を加えることで、低温になればなるほどグリップ力が高くなるゴムを開発しています。
工夫に工夫を重ねた冬用タイヤ
さらなる工夫はオールシーズンタイヤへ
スタッドレスタイヤは夏用タイヤに比べると、溝がデコボコとしています。これによって積雪路で溝が雪を噛んでくれることができます。
凍った路面のデコボコに合わせるためにタイヤのゴムが柔らかくなっています。さらに低温でも柔軟さを保つ特別な素材を使っているので、低温でもグリップ力が維持できます。
また、ゴムに添加物を加えることで氷を引っ掻けるようにして、氷の上でもしっかりと走れるようにしています。
氷の上で滑らないようにするために、タイヤと氷との間の水膜を取り除きやすくしています。タイヤのパターンや、ゴムの構造によって水を逃す性能が高くなります。