桜前線の意味と各地の標本木、ソメイヨシノの起源や春を彩る桜の種類 | 新常識発見で気分爽快!

桜前線の意味と各地の標本木、ソメイヨシノの起源や春を彩る桜の種類

    まず、ふだん見る桜の8割はソメイヨシノだと言うこと、知ってますか

    ソメイヨシノはクローンだから咲く時期もほぼ同じ

    日本国内の桜の名所の8割はソメイヨシノなんだそうです。漢字で書くと染井吉野で、その次は園芸種としての命名だと言われています。

    ソメイヨシノは、江戸時代の末期ごろから、サクラの園芸品種として栽培されてきました。

    江戸時代に染井村にいた植木職人や造園師たちが、エドヒガンザクラとオオシマザクラを交配させてできたといわれています。

    染井+吉野=ソメイヨシノ

    染井村の桜に、日本で有数の桜の名所である「吉野」をつけて命名されたわけですね。今では日本の中で最も認知度の高い品種になっています。

    ソメイヨシノは実生で増えることができない=種ができないので、接ぎ木や挿し木での繁殖方法しか使えません。

    ということは、江戸時代から延々とクローンを作り続けてきたわけですね。

    桜前線とは?

    ソメイヨシノの開花予想日の分布図

    以前、気象庁は「さくらの開花予想」なるものを発表していました。それを、マスコミが桜前線と呼ぶようになったそうです。

    そして、1970年代には気象庁も桜前線という語を用いるようになったといわれています。

    気象庁による全国的な開花・満開日の発表は1953年に始められました。ただ、開花予想については、民間のほうが精度の高い予想をするので、2009年春で発表をやめたそうです。

    桜前線は、日本各地の桜の開花予想日で同じ日のところを線で結んで作ります。3月中旬以降に九州や四国の南部から北上を始めます。

    そして、4月に日本列島をどんどん北上し、5月初旬ごろに北海道に到達するものです。

    しかし、年によっては、九州より北に位置している南関東のほうが先に咲いたりするので、桜前線が連続した線にならなかったりするそうです。

    桜の開花宣言とは?

    ソメイヨシノの花が開いた!

    開花予想とは違って、実際に咲いた結果から出すのが、開花宣言です。これは、実際の桜の木が観察対象で、各地の気象台の敷地などにある開花の基準となる木を用います。

    一応、基準としては、5~6輪咲いた状態が開花ということになっているそうです。そして、8割以上開いたら満開となります。

    気象庁でおこなわれている観測は、季節の移り変わりの変化を、動植物の定点観測で把握するという「生物季節観測」のひとつです。

    ようするに、標本木は桜だけじゃないと言うことなんです。イチョウや楓にも標本木が決められていて、紅葉や花、実について観測しているそうです。

    満開予想は開花から何日?

    地域によって、満開になる時期がずれる

    桜の開花は、標本木に5輪から6輪以上の花が開いたときですが、そこから満開まで、どのくらい日を要するのでしょう。これ、花見には重要なデータです。

    開花宣言から満開までの日数は地域によって違ってくるんですね。たとえば、九州や四国では9日前後ですし、中国地方、関西、東海、関東、甲信越では1週間程度になります。

    北に行くほど、開花から満開までの日は短くなり、北陸、東北、北海道では、5日前後が目安だといわれています。

    桜の花の開花段階の表示のしくみ

    桜の開花状況はよく、段階的に示されますが、じつは、その表記には正式な基準はないそうです。

    ここでは、その一例を紹介します。

    東京都

    8段階「未開花→開花→三分咲→五分咲→七分分咲→満開→散り始め→葉桜」

    静岡県

    6段階「開花→三分咲き→七分咲き→満開→散り始め→見頃おわり」

    静岡県三島市

    11段階「つぼみかたし→つぼみふくらむ→開花→一分咲き→三分咲き→五分咲き→七分咲き→満開→散りはじめ→落花さかん→終り」

    京都府

    6段階「つぼみ→咲きはじめ→満開近し→満開→散りはじめ→葉桜」

    各地の標本木とは?

    全国で決められている観察基準

    桜の「開花日である開花宣言と満開日を発表するときの基準となる桜の木を標本木といいます。

    標本木の桜の品種はソメイヨシノなんですが、じつは、北海道では札幌、室蘭、函館がソメイヨシノになり、稚内、旭川、網走、帯広、釧路ではエゾヤマザクラだそうです。

    九州の標本木

    福岡…福岡管区気象台
    大分…大分地方気象台
    長崎…長崎地方気象台
    佐賀…佐賀地方気象台
    熊本…熊本地方気象台
    宮崎…文化公園
    鹿児島…鹿児島地方気象台

    四国の標本木

    香川…栗林公園
    徳島…徳島地方気象台
    愛媛…道後公園
    高知…高知城公園

    中国地方の標本木

    山口…下関地方気象台
    広島…縮景園
    岡山…岡山後楽園
    島根…松江地方気象台
    鳥取…鳥取城跡久松公園

    関西の標本木

    大阪…大阪城西の丸庭園
    滋賀…彦根地方気象台
    京都…京都地方気象台
    兵庫…神戸市立王子動物園
    奈良…奈良地方気象台
    和歌山…紀三井寺

    東海の標本木

    愛知…名古屋地方気象台
    静岡…静岡地方気象台
    岐阜…加納天神町清水川堤
    三重…津偕楽公園

    関東の標本木

    東京…靖國神社
    茨城…旧県庁舎前
    栃木…宇都宮地方気象台
    群馬…前橋地方気象台
    埼玉…熊谷市荒川桜堤
    千葉…陣屋町公園
    神奈川…横浜市元町公園

    甲信越の標本木

    山梨…甲府地方気象台
    長野…長野地方気象台
    新潟…新潟地方気象台

    北陸の標本木

    富山…富山地方気象台
    石川…金沢地方気象台
    福井…福井地方気象台

    東北の標本木

    宮城…榴岡公園
    青森…青森地方気象台
    秋田…秋田地方気象台
    岩手…岩手公園
    山形…山形地方気象台
    福島…信夫山公園

    北海道の標本木

    札幌…北海道神宮
    稚内…稚内公園
    旭川…神楽岡公園
    網走…網走郷土博物館
    帯広…気象庁帯広測候所
    釧路…鶴ヶ岱公園
    室蘭…室蘭八幡宮
    函館…五稜郭公園

    日本は桜の宝庫

    原種が9種類、園芸種も入れると600種類

    桜はバラ科に属しています。そのなかのサクラ亜科、サクラ属に分類されているんですね。とりわけ、日本には桜の種類が豊富なんです。

    さて、日本の桜の原種は9種類あります。その変種も合わせると100種程度の野生の桜があるといわれています。

    これらの野生の桜を人の手で交配して作ったのが園芸品種で里桜ともいいます。野生種は山桜ともいい、里桜と合わせると、600種ほど確認されているそうです。

    ソメイヨシノの起源が韓国?

    日韓関係の火種にもなり得たけれど

    この問題はとにかく、見かけや性質が酷似していることから、韓国済州島のエイシュウザクラがソメイヨシノの起源とする説が唱えられてきたということです。

    しかし、DNAを調べて国立研究開発法人森林総合研究所が発表した内容で、現状では、一段落しているそうです。

    エイシュウザクラは、エドヒガンとオオヤマザクラの種間雑種、ソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種ということが明らかになっています。

    桜の分類は8種類

    園芸品種が1つ、野生種が7つ

    桜の種類は大きく8つに大別されているそうです。これを知っておけば、全国の桜を見るときも楽しめますね。

    1.自然交配や咲き方


    ソメイヨシノを始め、自然交配によって生まれた品種や八重桜、しだれ桜などで、咲き方によって名づけられた桜です。いわゆる園芸品種ですね。

    2.シナミザクラ群


    シナミザクラ群は、シナミザクラを交配したり、シナミザクラに近い生態をもったりする品種群のことです。現在では、中国南西部に7種ほど確認されています。

    3.エドヒガンザクラ群


    エドヒガン(江戸彼岸)は、彼岸の頃に花を咲かせることから名付けられた原種の1つです。そのエドヒガンに生態が近い桜をエドヒガン群と呼んでいます。

    早咲きで小さな花が咲きます。見た目はヤマザクラに似ていますが、花びらの下についているガクの下部が膨らんでいるのが特徴なんですね。

    4.ヒカンザクラ群


    ヒカンザクラ群の特徴は、樹高があまり高くなく、低木~中高木になる種類が多いことです。下向きに花を咲かせるヒカンザクラに近い品種やヒカンザクラを交配した品種です。

    5.チョウジザクラ群


    咲いた花びらが180度に広がり、丁字のように見えます。似た品種や変種も含めてチョウジザクラ群といいます。ガクの筒状の部分が大きく、花が小さいのが特徴です。

    6.マメザクラ群


    マメザクラ群は、豆桜の名の通り、花びらが小さく、樹高も高くなりません。花や葉が小ぶりで、中には開花期を複数回迎える品種もあるそうです。

    7.ミヤマザクラ群


    ミヤマザクラ群は、小さな花がまとまって咲くミヤマザクラに近い品種の分類です。ガクが反り返って花を咲かせる特徴をもっています。

    8.ヤマザクラ群


    ヤマザクラ群は、日本の野生原種のヤマザクラを交配したり、それに近い品種群です。花が咲くのと、葉が出るのが同時なのが特徴です。