クローン病の原因とは?
腸管免疫が大腸や小腸などの消化管を攻撃
クローン病は炎症性腸疾患と呼ばれる病気の一つだそうです。1932年に、ニューヨークの内科医によって報告されたのが最初です。
原因は特定できないそうで、とにかく、腸の免疫のはたらきが大腸や小腸を攻撃してしまうんですね。それで炎症や潰瘍を引き起こしてしまうわけです。
クローン病は欧米での発症例が多くて、日本で発症する人は少ないと言われているそうです。男女比は、2:1と男性の方が発症しやすいんですね。
発症年齢は10~20歳代が中心になっており、30歳代以降になると発症率が低下しています。
未だに解明されない原因
細菌やウイルスによる感染で発症するという説、食事中の何らかの成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしているという説など言われています。
しかし、いずれもはっきりと証明されておらず、何らかの遺伝子の異常が背景にあると考えられるようになってきました。
それによって、免疫をつかさどる細胞の異常反応が起こり、食事中の成分、病原微生物などの侵入に対しての免疫系の反応異常が原因だと推定されています。
最近の研究から
クローン病は、欧米に多かったのですが、ここ30年ほど前から日本でもクローン病を発症する人が増えてきているそうです。
この急激な変化から、遺伝子によるものとは考えにくく、環境的な要因に焦点が当てられています。
例えば、食生活の欧米化や脂肪分の高い食事、豚や牛、鶏などの肉類の摂取が注目されています。
日本食に多く使われる魚の油には炎症を抑制してくれる作用があり、日本食をあまり食べなくなったことも原因になっているのではないかと考えられているそうです。
クローン病の症状とは?
多くの病変が特徴的
消化管でも小腸と大腸に深い潰瘍を形成してしまう慢性の病気です。腹痛、下痢、血便などの症状が生じます。
それとともに発熱、全身倦怠感、体重減少といった全身症状に加え、肛門病変をともなうこともあります。
また消化管以外の症状として、関節炎、皮膚症状、眼症状を合併することもあるそうです。
基本的には良性の病気だそうです。しかし薬物療法や食事療法のなどの内科的治療で完全に炎症を抑えることは困難だといわれています。
そして、再燃を繰り返しながら慢性の経過をとってしまい、長い経過の間で手術にいたるという場合も多いようです。
クローン病の治療とは?
クローン病には根本的な治療法はない
クローン病の治療の基本は、腸管における炎症を抑えて症状を和らげるための薬物治療が中心です。
栄養状態を良くするために、栄養補給を組み合わせる治療もあるそうです。腸閉塞や穿孔、大量出血などが起こった場合は手術します。
クローン病は、寛解と再燃を繰り返します。要は、クローン病を正しく理解して、治療を継続することで、炎症をコントロールすることなんです。
そのために、生活リズムや食生活などに注意して、薬物治療や外科治療を組み合わせます。そして炎症の再燃・再発を予防していくのです。
クローン病は適切な薬物による治療でコントロールできる病気ですが、腸管の合併症が起こってしまい、内科的治療でコントロールできない場合には手術になります。
クローン病の予後は?
大腸癌の発生リスク
クローン病では大腸がんを発生する危険性が一般の方と比べて2.4倍、小腸がんは28倍といわれています。
また、クローン病患者の予後として、治療後、一般的にどのくらい生命を維持できるかを予測したとき、一般の人と同程度だといわれています。
さまざまなデータから、現段階では確定的とまではいえなくとも、クローン病が生命予後に悪影響を与える疾患だとはいえないそうです。